突然、窓の外から伸びた腕が飛んで来て男の部屋の中を物色し始めた。男はこの伸びた腕が人気マンガでお馴染みのゴムゴムのヤツの腕だというコトはスグに分かったのだが、しばらくはその様子を伺っていた。
その腕は遙か遠くから伸びていて、いったい何処から伸びてきているのかは分からなかったが、何かを必死で探しているというコトだけはその慌てっぷりから安易に想像がついた。
するとその腕はあるモノを掴んで戻ろうとしたのだが、そのあるモノを見て男は急に焦り出した。
何故ならばそれは男のとても大切にしている写真集「50W」だったからだ。
大切な写真集を奪われるのを阻止しようと男も必死になってそれを掴んだのだが、百戦錬磨のゴムゴムのヤツの強靱なパワーによって男は「50W」と共に窓の外に飛ぶように引っ張り出されてしまった。
男はもの凄い勢いで飛ぶように引っ張られながらも「このまま行けばゴムゴムのヤツの所まで行けるかもしれない」などとコミック界のビッグスターに会えるかもしれない興奮でワクワクしていたのだが、陸地も終わり海の上に出た辺りまで引っ張られたくらいの所である不安を抱き初めた。
「あんな屈強な連中がバトルをしている世界に行って凡人なオレは生きて帰るコトが出来るのだろうか…」
結局男は「50W」を掴んだ手を離し海に落っこちてしまった。
泳いで海岸まで戻り「50W」と共にゴムゴムのヤツの腕の戻って行った方を眺めながら男は大声で叫んだ。
「ゴムゴム!世界政府の歪んだ正義なんかに負けるなよ!それから「50W」大事にしてくれよ!」