オレは加護亜依という人を知っている。


タバコを吸っているコトは知らなかっただけ。
もしかしたら今も吸っているかもしれないし、吸ってないかもしれない。
恋人がいたであろうコトも知らなかっただけ。
もしかしたら今も恋人といるかもしれないし、いないかもしれない。
結局は知らないだけ。
彼女が昨夜見た夢も知らなければ、今日何を食べたかも知らない。
彼女のコトで知らないコトなんて星の数ほどあるんだし、それをいちいち知ろうとしたらキリがない。
イロイロ知りたいって気持ちはあるけれど、知らなくていいようなコトもタクサンある。知らなくていいんだったら知らないままでいい。それが彼女にとってあまり知られたくないようなコトだったらなおさらだ。
もとから知らないコトが多すぎる関係なんだしね。


でも、オレにもよく知っているコトがある。
いつも彼女は素敵な歌を届けてくれたってコト。
いつも彼女は素敵な笑顔だったってコト。
まだまだたくさんあるけど、それらを知ってるから彼女のコトが大好きなんだ。
うん、これだけでいい。
あんなに素敵な人のコトをこんなにも知ってるんだ。
これだけで十分だよ。


オレは加護亜依という人を知っている。オレの大好きな人だ。