男は急ぎ足で階段を駆け下り目的地へ向かっていた。
別に待ち合わせをしたのではないのだが、電話で「4時頃に行く」と言ってしまった以上は4時に着くのが当然だって事くらいは、男がいくらルーズであっても分かっていた。
しかし、時計の針は4時を大きく過ぎ、どちらかと言えば時間厳守のしっかり者であれば5時に待ち合わせをした時に到着予定とするであろう時間を指していた。
でもそれは男にとってはハロモニ。を観た後に書いた日記のネタ(1/22)を披露する場が早速訪れたので、逆に好都合でもあった。
男が目的地に着くと、仲間達が待ってましたと言わんばかりに「なんで遅れたの?」との質問を男にぶつけた。
男は想定通りの展開で、内心「してやったり」と思いながら口を開いたのだが、その次の瞬間に想定外の落とし穴が待っていた。


亜依ちゃんのコト考えてたら 恋いの迷路に……

なんと男は照れて最後までちゃんと言う事が出来なかったのだ。
男にとって遅刻した時の言い訳にしようとしていた言葉は、実際に発してみると言い訳になるどころか最後までしっかり言うのが恥ずかしくなるくらい「あま〜〜い」言葉だった…。
そして男は照れた自分を仲間にさとられまいと、慌ててその場をとりつくろった。
亜依ちゃん、あますぎるよ〜。予行練習もしないでぶっつけ本番でこんなあますぎるセリフを吐こうとした、イッシィの考えくらいあまいよ〜。