男は棚に置いてあるDVDを右手で取っては眺めまた元の場所に戻すという動作を繰り返していた。その買うか買わないか迷っているかのような様子は、CDショップでは比較的よく見られる光景であろう。
ただ、このニットキャップを深めに被り顎髭をたくわえた男が手に取って眺めながら買うかどうかを悩んでいるDVDが、10代前半のメンバーで構成されたアイドルグループのDVDだという事は決してありがちな光景ではないだろう。
しかし、男にとってはそんな事はどうでも良い事であった。
男の脳裏には数週間前の「ハロー!モーニング」で見た映像が蘇り、ここ数日間聴いていなかった「のにゅ。のにゅ。」な歌がループしていた。
そして何よりも男はピンクっぽい可愛らしい衣装に身を包んだ桃子さんのキャピキャピしたアイドルっぷりに惹かれていた。むさい男の部屋のTVにキャピキャピした桃子さんの映像が映し出されれば、怪しげな独身男の部屋にだって、きっとキュートで可愛らしい風が吹くはずだ。
「俺の部屋が桃色の部屋になる!桃色たってカトちゃんとは違うぞ!」
そんな事を想像して体温が上がったのか、ニットキャップに覆われた男の額は軽く汗ばんでいた。
しかし、男は貧乏であった。社会人である男は、会社絡みの忘年会やら新築祝いやらで今月は余計な出費がかさんでしまっていた。
「クソッ…、忘年会ったて只の飲み会みたいなもんじゃないか、なんでそんなのに付き合わされなきゃいけないんだ…」
「クソッ…、なんで家を新築するくらいお金を持っている人に、貧乏人である俺がお金をあげなきゃならないんだ…」
「クソッ…、貧乏ってイヤだゼ…」
そんな事を心でつぶやきながら男は右手に持っていたDVDを棚に戻すと、さっきまで悩んでいた事などすっかり忘れ「〜チュウ♪チュウ♪」とご機嫌に鼻歌を歌いながらレジへと向かった。
その左手には「ハロ★プロパーティ!2005」のDVDが大事そうに抱えられていた。


ってなワケで「ハロ★プロパーティ!2005」のDVDを買いました。やっぱりブギトレ良いっすね!
でも、どうせ今出すんだったら、より新鮮な「NEO」の方が良かったです。
んでもって「ギャグ100回分愛してくださいベリーズ工房」のシングルVの方はとりあえずは買いませんでした。今度誰かに見せてもらおっと!